よくあるご質問

地代・家賃の評価に関するQ&A

Q1.不動産調査報告書と不動産鑑定評価書の違いは何ですか?
A.不動産鑑定士は、本来、鑑定評価基準に則った鑑定評価を行うべきですが、四囲を取り巻く環境の変化や様々な社会的ニーズにより、必ずしも鑑定評価基準に則らなくてもいい場合もあり、実務上も不動産調査報告書が多く作成されるようになりました。
不動産調査報告書は,不動産鑑定評価基準の一部分のみを適用・準用して作成されたものであり,国土交通省が定めた「価格等調査ガイドライン」では,鑑定評価基準に則らない価格等調査としての位置づけとなります(鑑定評価基準に則らない価格等調査)。
不動産調査報告書は,鑑定評価に準ずる信頼性を有し,鑑定評価書に比べると料金も安く,また,納期も約1週間~10日と短いことが特徴です。割安な料金で鑑定評価に準ずる信頼性を求める場合などにお勧めしますが,立証資料として使用する場合など,鑑定評価書との比較において信頼性が落ち,適用できる不動産の種類も限定されます。また,調査報告書は,成果報告書に記載された以外の目的での使用及び記載されていない者への調査価格等の開示は想定していないことから,汎用性・自由度が劣ることになります
一方,不動産鑑定評価書とは、一言で述べると不動産の鑑定評価を記述した文書のことです。法令に従って厳密な調査・価格形成の分析を行う不動産鑑定評価によって,不動産の鑑定評価額は決定されます。そしてその分析した内容を説明し,その鑑定結果に辿り着いた根拠を詳細に解説したものが不動産鑑定評価書です。不動産鑑定評価書は国土交通省の定める不動産鑑定基準に基づいて評価されたものなので,法律的に認められて信頼性も高く,係争事件等裁判などでの立証資料として公的機関でも採用される書面です。

Q2.地代・家賃の改定交渉に係る評価以外にも,一時金や条件変更承諾料などの鑑定評価も可能ですか?
A.可能です。これらは特殊案件となるためご相談ください。

Q3.鑑定評価書を利用する場合に注意することはありますか?
A.地代・家賃訴訟の場合のみではなく,不動産の価格・賃料に絡む係争に当たっては不動産鑑定士の鑑定評価書が決めて的役割を果たしますのであった方が説得力高く裁判上有利になるかと思われます。対象不動産が建物を含む場合には,鑑定評価額が消費税込みの価格なのか消費税抜きの価格なのかが明確に表示されているかを確認する必要があります(土地は非課税)。実際に取引を行う際に金額に違いが生じますので注意が必要です。

Q4.賃料改訂(改定)交渉で話がまとまらず,鑑定評価書の依頼をしたいのですが,どのように鑑定評価を進めていくのでしょうか?
A.継続賃料の鑑定評価は,賃貸借契約が締結された時点から,当事者双方の契約締結やその後の経緯,収益や経済状況の変化等を詳細に調査する必要があります。鑑定評価のために当事者からヒアリングが欠かせないため,依頼者様のご協力のもと,共同作業で調査や条件整理を進めていくこととなります。
※継続賃料:継続賃料は賃貸借等の契約にかかる賃料を改訂する場合のものであり,不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料。

 

賃料交渉に関するQ&A

Q1.地代・家賃の賃料改訂(改定)交渉を行うことを考えていますが,自分で地代・家賃の減額(増額)交渉することは可能ですか?
A.地代・家賃の賃料改訂(改定)交渉はご自身でやられることが基本ですし,費用も安く済むという利点があります。ただし交渉の際必要となる裏づけ資料の作成及び減額請求額の算定は非常に専門的な事項が多く時間と手間がかかりますので,当不動産鑑定士事務所にご依頼なさることをお勧めします。

Q2.現在テナント店舗を賃借していますが,建物は年々老朽化しています。周辺の地価も下落しているようですが,家賃の減額(値下げ)の根拠となりますか?
A.借地借家法の解釈では,1「租税公課」,2「土地の価格」,3「建物の価格」,4「経済事情」に変動があった場合は,賃料改定の交渉ができるとされています。従って,家賃の減額(値下げ)の根拠となります。

Q3.賃貸マンションに住んでいますが,私の部屋と同じ間取りなのに安い値段で入居募集しています。家賃の減額(値下げ)の根拠となりますか?
A.借地借家法の解釈では,近傍類似・近傍同種の物件賃料と比較して不相当の場合は,賃料改定の交渉ができるとされています。従って,家賃の減額(値下げ)の根拠となります。

Q4.地代・家賃の増額(値上げ)交渉は可能でしょうか?
A.契約締結時に著しく安い賃料が設定されている場合など交渉が可能な場合もあります。賃料の増額(値上げ)要求を行った結果,話がまとまらず調停・訴訟に至った場合,裁判所は主に以下の事情を考慮して判決を出します。
① 目的物(土地あるいは建物)に対する税金が高くなったこと。
② 目的物自体の価格が高くなったこと。
③ 付近一帯の賃料が高くなったこと。

④ 賃貸店舗等の場合,借家人が多額の利益をあげたこと等
以上に該当する場合,地代・家賃の増額(値上げ)が認められる場合があります。

Q5.地代・家賃の改訂(改定)交渉を行う場合,鑑定評価書を用意するメリットはありますか?
A継続賃料の査定は個人でもできますが,国家資格者である不動産鑑定士が作成した鑑定評価書には客観性・信頼性があります。従って,不動産鑑定士が用意した裏づけ資料を用意することで,ただ情に訴えるだけの交渉ではなく,交渉の相手を納得させうる「理詰めの交渉」が可能となります。
また,交渉の結果合意に至らず調停・訴訟になった場合に賃料調査報告書・賃料鑑定評価書は裁判などでの立証資料としてご活用することが可能です。

Q6.調停・訴訟になった場合,弁護士・司法書士を紹介してくれますか?
A.話し合いがまとまらず訴訟に至った場合には法律の専門家である弁護士・司法書士に依頼なさった方が賢明でしょう。弁護士・司法書士の紹介は当方にて可能ですが,訴訟にかかる費用は多額になりますので収支の観点から慎重な判断が必要です(紹介料等の費用は無料です)。

Q7.賃料調査報告書や不動産鑑定評価書を依頼した場合,自分に代わって地主さんや大家さんとの地代・家賃の改訂(改定)交渉はやってくれますか?
A.賃料の改定交渉は弁護士法72条( 非弁活動の禁止)に抵触するおそれがあり不動産鑑定士は行うことが出来ません。

Q8.完全成功報酬で、地主さんや大家さんとの地代・家賃の改訂(改定)交渉はやってもらえますか?
A.完全成功報酬での賃料の改定交渉は弁護士法72条( 非弁活動の禁止)に抵触するおそれがあり不動産鑑定士は行うことが出来ません。

Q9.もし,地代・家賃減額(値下げ)をめぐって訴訟になった場合,不動産鑑定評価書は必ず必要になりますか?
A.地代・家賃減額(値下げ)訴訟の場合のみではなく,不動産の価格・賃料に絡む係争に当たっては不動産鑑定士の鑑定評価書が決めて的役割を果たしますのであった方が説得力高く裁判上有利になるかと思われます。なお、係争に絡む鑑定評価は,裁判等に係る精神的な負担や作業量が多いことから当事務所の報酬額も基本料金の2割増しと高めになっています。

お問い合わせ