不動産鑑定士の仕事(公的土地評価)
不動産鑑定士の仕事にはいろいろありますが,みなさまに身近なもののうち,代表的な地価公示制度と地価調査制度,固定資産税評価,相続税路線価についてご紹介します。
地価公示制度
地価公示は,国土交通省土地鑑定委員会が都市計画区域内その他国土交通大臣が定める区域内に選定した標準地について,2人の不動産鑑定士が行った鑑定評価結果をもとに審査・調整して,1平方メートル当たりの正常な価格※1を判定しています。
主体 国
担当部署 国土交通省・土地水資源局
調査回数 毎年1回
調査時点 毎年1月1日
発表時期 3月下旬
地価調査制度
地価調査は,国土利用計画法施工令第9条第1項及び同法施工規則第14条により,県内すべての市町村に価格調査を行うべきポイント(基準地)を設定し,この地点を不動産鑑定士が鑑定評価を行い,これを基に毎年7月1日現在の1平方メートル(林地は10アール)当たりの標準価格※1を知事が判定しています。
主体 都道府県
担当部署 地域振興部・土地水資源課
調査回数 毎年1回
調査時点 毎年7月1日
発表時期 9月下旬
固定資産税評価
固定資産税の評価は,総務省が定めた「固定資産評価基準」により行うものとされ,そのなかでも宅地の評価においては,地価公示価格,地価調査価格,相続税路線価等との均衡が求められ,市町村から委嘱された不動産鑑定士の鑑定評価額を活用することとされています。
主体 各市町村
担当部署 固定資産税担当課
調査回数 3年に1回
調査時点 評価替え前年の1月1日
発表時期 4月中旬
相続税路線価等評価
相続税路線価とは,相続税や贈与税を算定する際の基準となる路線価です。路線価は,路線に接する宅地を対象とした売買実例価格・地価公示価格・国税局長が委嘱した不動産鑑定士等による鑑定評価額と,精通者意見価格等を基として国税局長がその路線ごとに評定した1平方メートル当たりの価額とされています(「財産評価基本通達」14)。
主体 国
担当部署 国税庁
調査回数 毎年1回
調査時点 毎年1月1日
発表時期 毎年7月1日
※1)「正常な価格」(地価公示法第2条第2項)・「標準価格」(国土利用計画法施工令第9条第2項)とは,「土地について,自由な取引が行われたとした場合において通常成立すると認められる価格」であり,売り手にも買い手のも偏らない客観的な価格です。これらは,適正な地価の形成に寄与する目的等で設定されています。